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日本代表 11年前

本田が進化を続ける理由 ~藤田俊哉が回想するルーキー時代と人間像~(後編)

同時期に名古屋グランパスに加入した藤田俊哉と本田圭佑。すでにプロキャリア10年を重ねていた藤田の目にルーキーの本田はどのように映っていたのか。名古屋時代から現在までの成長について話を聞いた。

text by 元川悦子 photo by Kazuhito Yamada

【前編はこちらから】 | 【フットボールサミット第8回】掲載

試合に出続けたことで自信を掴んだ

本田が進化を続ける理由 ~藤田俊哉が回想するルーキー時代と人間像~
試合に出続けて自信を掴んだ本田【写真:山田一仁】

――オランダに行ってからの本田選手はどこが大きく変わったと思いますか?

「試合に出続けて、フェンロで確固たる地位を築いて、得点を取れるようになった。それはすごいことだね。名古屋時代は左サイドとかボランチとかいろんなポジションをやっていたけど、フェンロに行ってからはトップ下に固定され、思い切ってゴールを狙えるようになったのも大きかったんじゃないかな。

 圭佑自身も自分のプレーを分析して、どうすればその状況に適応できるかをきちんと考えながらやったと思う。CSKAモスクワでも日本代表でもいろんな役割をこなしているけど、それだけの適応力、対応力もある。求められることを忠実にこなしたうえで個性も出せる。それは普通じゃできないことだよ。

 やっぱりサッカー選手にとって一番大事なのは試合に出ること。試合に出なくても海外へ行けば経験できることが沢山あるのは分かるけど、俺の経験からすると絶対に出た方がいい。

 宮市(亮=アーセナル)にしたって、日本のことをよく知るベンゲルが、どういう育て方が一番いいかを考えてフェイエノールトやボルトンにレンタルする道を作ってくれたから成長できた。細貝(萌=レバークーゼン)もアウグスブルクに行って試合を重ねて確固たる地位を築いた。圭佑もカテゴリーは2部に下がったかもしれないけど、そこで力をつけてステップアップしたんだからね」

――2010年2月にVVVフェンロからCSKAへ行った頃の本田選手は「走れて点の取れるアタッカー」に変貌していました。

「サッカー選手って、プレーに余裕が出てくると走れたりするもの。試合中にいい感覚で呼吸ができたり、動き出しが速くなったりする。ある程度の基礎体力はもともと持っているけど、どんな心理状態でサッカーをするのか、厳しい状況下でどうコンディションを作るのか……といったことが、試合に出続けることでつかめてくる。

 自分が周りより秀でているとか、ボールコントロールには絶対の自信があると思えれば、肩の力が抜けてラクな気持ちで動けることもある。圭佑もオランダで結果を出して、そんな領域までたどり着いたんじゃないかな」

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