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Jリーグ 11年前

Jリーグに訪れた久しぶりの“本物”。大宮の快進撃を支える、スロベニア出身の強力2トップ

J1・第8節を終え、大宮アルディージャが首位に立っている。ズデンコ・ベルデニック監督の手腕はもちろんのこと、スロベニア出身の2トップ、ズラタンとノヴァコヴィッチがチームに与える影響は大きい。彼らの現在地に迫った。

text by 粕川哲男 photo by Kenzaburo Matsuoka / Masahiro Ura

得点源としてベルデニック監督が呼び寄せた2人

 2012年6月、13試合を消化したJ1リーグで15位と低迷していた大宮は、ズデンコ・ベルデニック監督にチームの再建を託した。

 J1に昇格した2005年以降、常に残留争いを展開しながらも土壇場で踏み止まってきた大宮は、J1で迎える8シーズン目の昨季、勝点50を目指してスタートを切ったが攻守の歯車が噛み合わず、またもJ1残留のみが目標となっていたのである。

 市原、名古屋、仙台で監督を務めた経験もある親日家の智将は、組織的な守備の構築に定評があった。

 彼が日本に導入したと言われている守備戦術(前線から最終ラインまでをコンパクトに保ち、そのなかで速く、激しくプレスを仕掛けるスタイル)は、日本代表も指揮した加茂周監督によって“ゾーンプレス”と名付けられ、世界と戦う日本を支えた。

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ノヴァコヴィッチ【写真:松岡健三郎】

 まずは守備を建て直して、そのうえで勝点を稼げる新外国籍選手を獲得する。それが、大宮のフロントが思い描いたJ1残留のシナリオだった。

 新たな得点源として白羽の矢が立ったのが、ズラタンとノヴァコヴィッチだ。

 現在もスロベニア代表でプレーする2人は、ベルデニック監督がチームディレクターを務めた2009、10年当時から代表の主軸で、監督にとってはプレースタイルや性格面など、その特徴を知り尽くした選手だった。

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