ヴィッセル神戸の術中にはまったガンバ

　今季3度目の無得点に封じられ、J2で初黒星を喫した神戸戦。好調だったはずの攻撃陣は、家長昭博のパフォーマンスに比例するかのように下降曲線を描きつつある。

「守備でも体を張っているし、効いている」（長谷川健太監督）。札幌戦以降、2列目の右サイドに定着し、攻撃では抜群のキープ力でタメを作り出すばかりか、守備面でも強靭なフィジカルを生かして献身さを家長は見せていたはずだった。

　昨夏にレンタル移籍でG大阪に復帰して以来、課題だったオフザボールやゴールへのこだわりに成長を見せ、「気まぐれな」という枕詞はもはや不要に思われたかつての天才レフティー（もはや手放しで天才と呼べない年齢と実績だ）。

「僕らより上にいるチームなので、誰もが大事な試合だと分かっている」。遠藤保仁がこう力を込めたように、首位神戸との直接対決は、勝てば今季初の首位浮上を果たせる大一番だった。

「中盤のプレスもきつかったし、前線に蹴ったら意外とセカンドボールを拾えていた」と今野泰幸が、チームスタイルにはほど遠い最後尾からのロングフィードに走らざるを得ないほど、神戸のドイスボランチ、田中英雄とエステバンのパフォーマンスは秀逸だった。

　ただ、前半に関しては遠藤に両ボランチが食いついた背後のスペースを突き、徐々にG大阪がペースを握り始めていた緊迫の首位攻防戦。「一瞬の隙をつく選手が神戸にはいる。隙を見せない」と指揮官がハーフタイムに飛ばした懸念が、的中してしまう。