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ブンデスリーガ時代の到来か? CL決勝ドイツ対決から考察する欧州サッカーの覇権争い

今季のチャンピオンズリーグ決勝はドイツ対決となった。今後、欧州サッカーはドイツを中心に回っていくのだろうか。CLの歴史を振り返り、時代と共に移ろいゆく欧州サッカーの覇権争いを検証すると共に未来を占う。

text by 西部謙司 photo by Ryota Harada , Kazhito Yamada / Kaz Photography

遅れてきたドイツ

 欧州チャンピオンズカップがスタートしたのが1955年、最初の5シーズンはレアル・マドリーの5連覇だった。続いてベンフィカが連覇し、ミランを挟んでインテルが連覇。50~60年代、欧州の覇権はラテン勢にあった。

 しかし、67年にセルティックが優勝してはじめて北のチームがトロフィーを獲得すると、68年はマンチェスター・ユナイテッドが優勝。70年代はアヤックス、バイエルン・ ミュンヘンが3連覇するなどオランダ、ドイツ勢の時代になった。

 70年代後半からはリバプールを中心とするイングランド勢が躍進、90年代はイタリア、スペインが復権し、2000年からはビッグクラブによるタイトルのたらい回しとなって現在に至っている。

 最後の初優勝チームは昨季のチェルシーだが、それ以前となると97年まで遡る。ボルシア・ドルトムントがミュンヘンでユベントスに勝ったシーズンだ。今季は、それ以来の決勝となったドルトムントと、バイエルン・ミュンヘンの決勝となった。ドイツ対決は大会史上初。いよいよドイツ時代の到来か、とも言われている。

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CL決勝でのドイツ対決は大会史上初【写真:原田亮太】

 この大会におけるドイツ勢は後発だった。ブンデスリーガの旗揚げが1963年なので、チャンピオンズカップのスタートよりプロリーグの発足が遅いのだ。60年の決勝にアイントラハト・フランクフルトが進出しているが当時はアマチュアだった。

 バイエルン・ミュンヘンがブンデスリーガに参入したのが65年、平均年齢21歳という若いチームだった。フランツ・ベッケンバウアー、ゲルト・ミュラー、ゼップ・マイヤーといった黄金時代を築く中心メンバーはいずれも20歳前後。

 しかし、若いバイエルンは破竹の勢いを示し、72-73シーズンは2度目の参戦でベスト4まで勝ち進んでいる。ヨハン・クライフのいたアヤックスに準決勝で敗れたものの、当時の注目カードだった。バイエルンはあっというまに強豪クラブにのし上がっていた。

 翌73-74シーズンからは3連覇を成し遂げる。バイエルンのライバルだったボルシアMGも強く、77年のファイナルに進出している。その後もバイエルンは一貫して欧州の強豪であり続け、ボルシアMGは衰退してしまったが、ハンブルガーSVが83年、ドルトムントが97年に優勝し、バイヤー・レバークーゼンが02年の決勝に進出。バイエルン+アルファの形で、この大会での勢力を維持してきた。

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