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日本代表 11年前

中村憲剛が語る日本代表への決意「本田がいないときにやってきた自負がある」

text by いしかわ ごう photo by Kenzaburo Matsuoka

代表ではポジションが確約されていないが…

 このオーストラリア代表戦も、ホームでの本大会出場を目撃しようと、チケット争奪戦を含めて異常とも言える盛り上がりを見せているが、だからといって日本代表が勝つ保証などどこにもない。言葉を続ける。

「勝って当然という雰囲気になっているが、絶対に簡単な相手ではない。実際、自分たちはヨルダンに負けている。そこの事実に目をそらしてはいけないと思っている。あのとき、自分たちが緩んでいたつもりはまるでなかった。それでも負けてしまったのは、むこうがそれ以上に必死だったから。今回もしっかりと準備しないといけない」

 その準備という中では、チーム内でのポジション争いがある。トップ下では本田圭佑、香川真司といった海外組がひしめき、ボランチでは遠藤保仁と長谷部誠のユニットが盤石を築いている。中村は日本代表でポジションを確約されている選手ではなく、それは本人も認めるところだ。

「(本田)圭佑がいるし、自分は絶対的な存在ではない。でも圭佑がいないときにやってきた自負もある」

 3月に行われたテストマッチのカナダ戦では、トップ下で出場して流れを変えるパフォーマンスを見せたにもかかわらず、直後のヨルダン代表戦では出番がなかった。悔しい思いを経験したまま帰国した。

 そして今回、工藤壮人、東慶悟という新戦力も招集された。チーム内の競争は激しさを増しつつある。しかし中村はその状況は歓迎している。楽しんでいると言ってもいいぐらいだ。

「新戦力が来るのは常にあること。東や工藤が入ったのは、チームにとっていいメッセージじゃないかな。まわりはバチバチ感を作りたがるかもしれないけど、そこで定着するかどうかは自分次第だし、自分もそうやって生き残ってきた。もちろん、パスを出さないとか、そういうことはしないよ(笑)。同じ志を持った仲間なんだから」

 30日のブルガリア代表戦。本田圭佑が不在であるため、中村がトップ下で起用される可能性はあるだろう。W杯本大会まであと1年。そのサバイバルレースはすでに始まっている。

【了】

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