フットボールチャンネル

Jリーグ 11年前

チームとしての成長力――遠藤、今野の離脱をガンバはいかにカバーしたのか?

代表組が離脱して迎えた初の試合となった栃木戦。苦しい戦いも予想された中で快勝し、首位をキープした。ガンバをいかに遠藤と今野の穴をカバーしたのか? そこにはチームとしての成長がある。

text by 下薗昌記 photo by Kenzaburo Matsuoka

遠藤と今野を欠いた中での戦い

「代表不在の6月は色々とチームが試される時期だと思う」(長谷川健太監督)。遠藤保仁と今野泰幸の両代表選手を欠く6月は、G大阪にとってチームの総合力が問われる試練の場だ。

チームとしての成長力――遠藤、今野の離脱をガンバはいかにカバーしたのか?
2人が再合流するまでの首位堅持は選手全員の共通目標である【写真:松岡健三郎】

 遠藤と今野のアベックゴールで首位に浮上した大阪の雄にとって、2人が再合流するまでの首位堅持は選手全員の共通目標でもある。「勝っている限りは、首位から落ちる事はない。代表がいないから勝てないと言われたくない」(倉田秋)

 遠藤と今野を代表で欠いた3、4節は連続ドローに終わったが、長谷川監督は「当時は代表選手がいてもどうなるか分からないというチーム状態だった」と語る。

 パスサッカーの象徴でもある遠藤を欠き、明神智和と武井択也らがボランチを組んだ試合ではボール回しにリズム感を欠くのは長年チームが抱える課題の一つ。2人がボランチを務めた熊本戦と千葉戦では明らかに低調だった攻撃陣だが、当時と異なるのは内田達也にボランチ起用のめどが立ったこと。指揮官が選んだラストピースは、大卒ルーキーの岡崎建哉だ。

「若手に経験を積ませようなんて思っていない。現状のベストで戦うだけ」(長谷川監督)。あくまでも内田と岡崎のコンビに信頼を置いた指揮官だが、同時にこんな言葉も口にした。「ボランチがダメなら、他の選手でカバーすればいい。重要なポジションだが、ボランチが全てではない」

 その真意は、上辺だけのボールポゼッションにこだわらない現実的なスタイルの志向である。「ヤットさんがいる時とはボールの回り方が違う。建哉君がいるとより、縦に速くなる」(倉田)。遠藤の代役を見出すのが不可能ならば、違うサッカーを志向すればいいだけだ。長谷川監督の思考はシンプルだった。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top