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Jリーグ 11年前

チームとしての成長力――遠藤、今野の離脱をガンバはいかにカバーしたのか?

text by 下薗昌記 photo by Kenzaburo Matsuoka

代表組不在をカバーした内田達也の凄さとは?

「先制されれば全く違う展開になっていた」(長谷川監督)。「1失点目が一番痛かったかも。0対0で出来るだけ長く試合を進めたかった」(松田浩監督)。

 両チームの指揮官が口を揃えた10分の先制点が、分岐点になったのは間違いないが、この日G大阪が奪った3得点のいずれもがカウンターによるものだった。

 ボールは支配するものの、肝心なところで決定力を欠いて逆に相手の一撃に沈んだ昨季にはなかったカウンターの精度の高さ。ややもするとG大阪には「ポゼッション」「パスワーク」という肩書きが付きまとうが、2009年あたりからチームは手数をかけないカウンターも「もう一つの顔」である。

 もっとも、G大阪がカウンターを狙いうる展開に持ち込んだのは10分の先制点があってこそ。「ウッチー(内田)はクレバーだから大丈夫」と離脱前に全幅の信頼を見せていた遠藤だが、先制点は背番号27の見事なインターセプトによるものだ。「あのプレーの前にも取れなかったけど、GKが同じようにあそこに蹴っていたので狙っていた」(内田)

 ミスをするたびに萎縮気味だった神戸戦にもめげず、毎試合確かな成長を見せてきた背番号27だが、特に栃木戦では今野を思わせる稼働力と、G大阪ユース出身者ならではの足下の上手さを見せて、堂々と中盤を仕切っていた。

「代表選手がいなくなってどうなるかと思ったが、12000人を超すサポーターの前ではつらつとプレーしてくれた」(長谷川監督)。引かれた相手や先制された場合の機能性はまだ、未知数だが、リーグ最少失点の栃木相手から奪った3点に、リーグ序盤とは異なるチームの確かな成長が現れていた。

【了】

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