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「落ち着け」では解消しない! 日本人選手に決定力がない本当の理由

text by 中村僚 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

メッシとクリロナのシュートも3パターンに分けられる

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リオネル・メッシ【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

「決定力」を有する選手として、やはり名前をあげなければならないのは、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシとポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドだろう。

 ここ数年、世界最高の選手との呼び声をほしいままにしているこの二人は、本稿執筆時点で前者がリーグ戦31試合出場46ゴール、後者が33試合出場34ゴールと、圧倒的な数字を残している。ちなみに、リーガ・エスパニョーラ得点数ワースト1位のオサスナはチーム総得点が28である。

 彼らの華麗なゴールシーンの数々を見る中で、私はあることに気付く。それは、ゴールとなるシュートにはいくつかパターンがあること。私はこれを大きく3つに分けることができると判断した。

[1]GKの予測を上回り、物理的にセーブ不可能なコースへのシュート。

[2]GKの予測すら不可能にするシュート。

[3]予測も物理的対処も可能だが、反射的にセーブすることが困難なコースへのシュート。

[1]はGKが反応するものの、手は届かないというもの。例えば、ゴールマウスぎりぎりのミドルシュートや、鋭利なカーブを描いた直接フリーキックなどが該当する。

[2]はGKの予測を妨害し、反応することすら許さない、あるいは困難にさせるシュート。DFの股を抜きGKの視覚外から放たれたシュートや、高速クロスでGKを揺さぶりダイレクトで押し込むシュート、キックフェイントでGKを抜き去ってから放つシュートなどである。

 そして[3]。これがもっとも注目した点だ。別段、球速があるわけでもなく、タイミングをずらした形跡もない。それでもあっさりとゴールに収まるシュートがいくつも存在した。

 具体的には、GKの顔の横(肩口)、股の間、倒れ込んだ際の脇の下、サイドに追い込まれてから頭上を抜けてネットに収まるという、一部では「ニア・ハイ」と呼ばれるシュートである。

 普通に考えればGKの守備範囲内であり、人体構造的にも何の苦もなく手は届く。そもそも足を閉じれば股下の隙間など空くはずもない。それでもメッシ、ロナウドのシュートは、それらのコースをあっさりとすり抜ける。

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