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日本代表 11年前

まるで罰ゲームだったイラク戦。勝ち点3と引き換えに失ったものとは?

11日のイラク戦。アウェイで0-1と勝利さえした日本だが、内容は満足いくものではなかった。厳しい環境の中の試合とあって、選手のコンディション面を考えても不安は残った。コンフェデに向け、果たしてこの試合の収穫はどれほどあっただろうか。

text by 西部謙司 photo by Asuka Kudo / Football Channel

フル出場した選手には疲労がたまり…

 コンフェデレーションズカップの緒戦を4日後に控えた日本にとって、ほとんど罰ゲームのような試合になってしまった。

 オーストラリア戦の先発メンバーで出場しなかったのは吉田麻也、内田篤人、本田圭佑、前田遼一そして出場停止だった長谷部誠の5人。さほど選手の入れ替えもせずにこの試合に臨んだのは、予選を勝って終わりたかったということだろう。

 ヨルダンとブルガリアに負け、オーストラリアとも引き分けと、しばらく勝利から遠ざかっていた。ザッケローニ監督の言葉を借りれば「勝ちぐせをつける」ことを優先したわけだ。

 ところが、日本はなかなか主導権を握れないまま必死のイラクに押される場面も。暑さと風に体力を奪われ、日本のコンディションは良好とは言えなかった。最後はカウンターから遠藤保仁のパスを岡崎慎司が決め、ほしかった勝利を手に入れたが、この1勝にどれだけの価値があったのだろうか。どんな状況でも勝利を目指すのは素晴らしいのだが、失ったものと秤にかけると疑問が残る。

 川島永嗣、香川真司、遠藤保仁、長友佑都、今野泰幸、岡崎慎司はフル出場だった。彼らはコンフェデ緒戦のブラジル戦でもプレーするだろう。滞在するだけでも疲労しそうなドーハで厳しい試合をやり、長距離の移動を経てブラジル入りする。開幕の相手は開催国、すでに彼らは国内で親善試合もこなして万全のコンディションで待っている。

 予選突破が決まった後のイラク戦、主力を90分間使うことに果たしてどれだけの意味があるのか。それで得たのが勝ち点3だけなら、失ったもののほうが大きいのではないだろうか。

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