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日本代表 11年前

本田を見返す高いパフォーマンスを見せた今野。代表選手の手本となるイラク戦での積極性

11日のイラク戦。すっきりしない試合にあって、誰よりもチャレンジしていたのがセンターバックの今野泰幸だ。コンフェデ、W杯とさらなる個人のレベルアップが必要になる日本代表。この日の今野のプレーにそのヒントがあるのではないだろうか。

text by 北健一郎 photo by Asuka Kudo / Football Channel

ザックが今野を最終ラインに置く意味

 1-0で勝利したW杯最終予選の最終戦・イラク戦。この試合で誰よりもチャレンジしていたのは、貴重なチャンスを与えられたバックアップの選手ではなく不動のレギュラーの今野泰幸だった。

 オーストラリア戦の翌日に行われたW杯出場決定記者会見で今野は“ダメ出し”をされていた。発端は今野が「ビッグクラブでプレーしている選手とやるのは楽しいです」と発言したこと。それに対して本田から「今野選手のように憧れみたいな気持ちでいられると困る」と突っ込まれたのだ。

 こんなこと公の場で3つ年下の後輩に言われたら腹を立ててもおかしくない。だが、本田の言葉を素直に受け止められるのが今野の良さである。このイラク戦では1年後のW杯を見据えたような積極的なプレーが何度も見られた。

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オーストラリア戦ではケーヒルをマークした今野【写真:工藤明日香(フットボールチャンネル)】

 今野の最大の武器は「ファウルをしないでボールを奪えること」だ。178センチと上背はないが、ポジショニングの良さと読みの鋭さを持つ。ディフェンス時には、常にマークしている選手の斜め後ろあたりにポジショニングをとって、パスが出た瞬間に先手を取ってアクションを起こすのが今野のスタイルだ。

 今野のボール奪取はカウンターにつながりやすい。一旦ボールを収めさせてから奪いに行こうとすると、他の選手がボールのある位置まで戻らなければならなくなる。だが、今野のように早いタイミングでボールを奪えれば高いラインを保ちながらプレーできる。ザッケローニ監督が最終ラインに今野を置いている最大の理由もそこにある。

 センターバックというポジション上、オーストラリア戦のケーヒル、この試合の10番のユニスのように自分より10センチ近く身長の高い相手とマッチアップすることも多い。ここで今野が負けてしまうとチーム全体が劣勢に回ってしまう。しかし、今野はほとんどユニスに仕事をさせなかった。

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