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遠藤保仁の原点となったサッカー王国。天才ボランチが描くブラジル戦・勝利への道筋

text by 下薗昌記 photo by Asuka Kudo / Football Channel

遠藤は新たなページを付け加えることができるか?

 昨年10月にA代表史上最多となる123試合を達成した相手は奇しくもカナリア軍団だった。この試合は0対4で完敗を喫したものの先制点を奪った相手ボランチのパウリーニョの攻撃参加は日本の司令塔にも少なからず、影響を与えていた。

「中盤の底にいてもここぞと言う場面では点に絡んでくる。僕も意識を変えたい」。帰国直後に行われた広島戦では、相手ゴール前に鋭く侵入し、技ありの一撃を叩き込んでいるが、当時32歳の背番号7に未だに刺激を与え続けるのが、ワールドカップ最多優勝国なのだ。

 コンフェデレーションズカップの開幕戦で対戦する今回のブラジルは、ロナウジーニョやカカーらが不在で若手主体のメンバー構成。「若い選手も多いが、ネイマールら強烈な選手もいる。国内組もいるし対戦するのが楽しみ」(遠藤)。

 百戦錬磨の司令塔には王国からの過去日本が一度も奪えていない大金星への道筋がうっすらと見えている。

「初戦はどのチームも勝ち点3が欲しいし、ブラジルにもプレッシャーがかかるはず。最初から極力自分たちの戦いに徹して、チャンスを決めきれることが出来たら面白い展開になる」

 完全アウェイが予想されるブラジリアのマネ・ガリンシャスタジアムで若きセレソンに、対峙する遠藤保仁。息もつかせぬ攻防の中で、日本が誇る「百科事典」は新たな刺激や発見を、自らのページの一つとして加えるに違いない。

【了】

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