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【イタリア視点で日本戦を分析】完璧に崩された右サイド。戦術でも上回ったザックジャパン

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「左で崩して右で仕留めろ」

「いや、日本が凄く良かったんだ。あれだけ個々の技術の高い選手たちが、あれだけ高いインテンシティでサッカーをしてくれば、疲労いかんに関わらず誰が対戦しても難しい」

 そう語ったのは、この日TV解説者として現地に訪れていた、元イタリア代表DFジュセッペ・ベルゴミだ。実際イタリアは、多大な混乱に面していた。プランデッリ監督は早々交代のカードを2枚切ったが、下げられたのはアクイラーニにマッジョと、ターンオーバーで起用された2人だったのだ。

長友佑都
長友佑都【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 つまり疲労の蓄積は他の選手よりも少なく、しかも2人共に右のサイドを担当していた選手。戦術的に、イタリアが破綻していたエリアだったのだ。
 
 先発の4-3-2-1システムは、メキシコ戦と同様。サイドの守りはSBとボランチの一角が務め、相手のSBの牽制はシャドーの選手が担当する。しかし、ここで後手に回った。

 香川が張り出し、本田、遠藤がパスを回し、そして長友が盛んにスペースへと飛び出し常に数的優位を掛けて振り回す。しかもそれぞれ、プレスからパス交換、そしてランニングに至るまでリズムが非常に激しい。

 これに対しイタリアは、本来4バックとしてはあまりカバーが巧くないマッジョがオーバーラップの後でスペースを空け、デ・ロッシの連動も遅れてカバーが効かない。さらにSBに対しても、2シャドーの右だったアクイラーニが長友にまったくプレスを掛けて行かない。20分には右(イタリアかた見た左)を逆に崩されて、気がつけば本田にPKを決められる展開となった。

 実はメキシコ戦でも、このエリアの守備では再三ピンチを招いており、日本もスカウティングで見破っていたようである。長友に話を聞くと、「左からどんどん行け、左で崩して、右で仕留めろというふうに監督からは言われていた。僕と香川で、そしてそこに(本田)圭佑も入ってきて、そこで崩せていたと思う」と語っていた。

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