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疲労は言い訳にならないメキシコ戦。足りないのは勝利を貪欲に目指す姿勢【どこよりも早い日本代表採点】

シリーズ:どこよりも早い採点 text by 植田路生 photo by Kenzaburo Matsuoka

足りなかった貪欲な姿勢

 グループステージを考えると消化試合となってしまったが、試合を観る限りは選手たちからはそのような“緩い気持ち”は感じられず、勝利への意識があるように見えた。

 しかし、サッカーとは結果がすべてだ。本番は1年後のW杯ではあるが、3連敗という現実は強く受け止めなくてはならない。W杯でこのような厳しい組み分けになることはよほどの悪運でなければあり得ないが、メキシコからも勝ち点を奪えないようだとベスト16すら危うい。

 たしかにコンディションは悪かった。中2日で長距離移動もあり、厳しい日程だったことは考慮すべき点だ。だが、自分たちの状態が良くなかったことは分かっていたことで、“悪いなり”のサッカーがなぜできないのか。

 イタリア戦が日本にとって1つの指標になったのは間違いないが、疲労が溜まっている状態で同じように試合を進めるのは無理というものだ。

 例えば、相手のペースになりそうなときはDFラインでボールを回す、攻撃の際も無理に中央から崩そうとせずシュートで終わって守備に備える。苦しい試合展開のときはある程度試合を壊してでも、一瞬の隙を狙う。

 イタリアが教えてくれたのはまさにそこだったのではないだろうか。そのような試合運びが改善されないことが、そのまま結果につながっている。

 前日会見では選手・監督から「勝利」という言葉が聞こえた。そこを目指してメキシコ戦を戦い、モチベーションを保っていたのは評価できるが、どこかで「自分たちのサッカーをしたい」という気持ちが優先していたのではないか。

 スタイルを構築するのは必要なことだ。だがそのスタイルの中になぜ「貪欲に勝利を目指す」という要素が入ってこないのか、残念でならない。

 ちなみに、メキシコも中2日で移動もあった。日本とほぼ同じ状況だ。この現実は重く受け止めるべきだろう。

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