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タイで始まったマンUのアジアツアー。熱狂の裏で起こった反発の理由とは?

text by 長沢正博 photo by Masahiro Nagasawa

高騰したチケット代、通常の10倍から40倍の席も

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公開練習でファンにタイの挨拶・ワイ(合唱)をする選手たち【写真:長沢正博】

 理由の一つは高騰したチケット代だ。例えばユナイテッドの試合の場合、チケットは一番安いゴール裏席で1,000B(1B=約3円、約3000円)、最も高いメインスタンド席は4,000B(約12000円)という値段になった。普段のリーグ戦のチケットは100B(約300円)、高くても200B(約600円)程だから、10倍から20倍、40倍の価格が付けられたことになる。

 さらに、ユナイテッドと対戦する、タイの“シンハー”オールスターズの選手構成もいびつになった。シンハーとは創業80周年を迎えるタイのビール会社で、ユナイテッドのスポンサーになっており、この試合のスポンサーでもある。

 このオールスターズ、言ってしまえばタイプレミアリーグ選抜なのだが、おそらくスポンサーシップの関係なのだろう、タイのもう一つのビール会社“チャン”がスポンサーをしているチームからは、全くと言っていいほど選手が選ばれていないのだ。

 その結果、アジアチャンピオンズリーグで8強に残り、リーグ戦でも首位を走る屈指の人気チーム・ブリーラムユナイテッドからは一人も選ばれていない。

 さらには日本でのプレー、指導経験があり、現在チョンブリFCで監督を務めているヴィタヤ氏が、ビッグクラブの来タイを歓迎しつつも「彼らはマーケティングのために来るのであって、真剣なサッカーの試合を期待してはいけない」とメディアにはっきりと語ってしまっている始末だ。

 やはりチャンがスポンサーに入っているチョンブリFCからも、選手は一人も選ばれていない。

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