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ジュニサカ 11年前

サッカー現場で潜む危険から守る! 指導者&保護者のためのよくわかる熱中症対策

text by 植村誠 photo by Kenzaburo Matsuoka

給水と休憩で選手を守る

 かつて、「汗をかいてバテるから」と、練習中などに水を飲むことを禁じてきた指導者が少なくありませんでした。これはもちろん誤りですし、熱中症対策からいえば最悪の指導ともいえます。現在、ユース以下のサッカー大会では試合中の給水タイムを設けることがありますが、これは選手のパフォーマンスを保つだけでなく、熱中症を予防するためのものです。

 熱中症を防ぐために留意したいポイントは大きく4つあります。

 ひとつはWBGTも基づく運動指針を参考にし、無理な環境下での運動を控えたり、こまめな休憩を挿むことです。ジュニア世代では、選手任せではなく強制的に休ませるなどの指導が望ましいです。休憩のときに、氷や水を用いたアイシングをして身体を冷やすのもおすすめです。

 次に水分の補給です。暑ければ汗を大量にかきます。運動によって生じる余分な熱を発散させているからです。そのまま運動を続ければ脱水状態となってパフォーマンスが低下するばかりでなく、体温調節機能に異常を生じかねません。「ノドが乾いた」というのはまさに身体の水分が不足したサイン。選手のコンディションを観察しながら十分な水分補給を心掛けてください。

 一定の運動時間ごと(15分おきぐらい)に休憩とともに給水タイムを設けるなど、計画的に飲ませるのがいいでしょう。汗とともに塩分も失われますので、真水よりは0.1~0.2%程度の食塩水や市販のスポーツドリンクが最適です。補給量は個人差がありますが、運動前後の体重を比べることによりおおよその脱水量がわかりますので、それを目安にできます。

 3つ目は前項で触れた暑熱馴化、暑さにならすことです。急な気温の上昇や合宿初日などで身体が暑さになれきっていないときには注意が必要です。

 さらに吸湿性や通気性に優れた素材の運動着の着用も効果的です。睡眠や食事をしっかりとり、体調を整えることも大切。疲労や風邪気味などで体調が悪いときには思いきって休ませることも必要ですし、動きが鈍かったり、体調の悪さを訴えてきた場合には即座に運動を中止し、応急手当などの処置をとってください。なお、肥満がリスクを高めることも注意しておきましょう。

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