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【特集:ボーダーレス化する世界】中東の帰化を巡る、札束と国籍(その3)

text by 編集部 photo by editorial staff

パスポートが純血のUAE人しか持てない理由

――なぜ、そこまで真逆な方針なのでしょうか。

「やっぱり民族意識の高まりでしょうね。ドバイは国際都市でいろんな外国人が来ていますからUAE人はアラビア語で『エマラ』って言うんですけど、『エマラ』の誇りを大事にしているんだと思います。ひょっとしたら、カタールに対するアンチもあるかもしれないですけれども」

――いま住んでいる人の子供が代々国籍を持っているから増えていくことはないのでしょうか?

「増えていかないですね。それでもUAEのすごいところは今回もロンドン五輪出場を決めて、2009年のU-20、U-17のふたつの世界大会に出ています。育成に力を入れてるんですよ。UAEは子供をどんどんサッカークラブに呼んでいます。アル・ワハダやアル・ジャジーラ、アル・アハリとかはもうピッチ10面ありますから。育成年代から徹底的にサッカーをさせて、オランダ人の監督を連れてきています。純血主義の彼らなりにいい方向に進んでいますよ。国が小さいですけど、財力とサッカーを上手く組み合わせて育成しています」

――湾岸諸国の事例もそれぞれでまったく違う方向性なんですね。

「ただ全体的にカタールもそうですけど、だんだん大人しくなってきましたね。逆に移民を活用していますから。普通の移民労働者だとパスポートが貰えませんが、それでも2、3代前から住んでいる移民の子供が代表候補に入ると、彼らに国籍を与えています。日本で言えば、在日の人を取り込んでいるみたいなものです。露骨に外に住んでいる選手を呼んでいませんね」

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