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Jリーグ 11年前

再試合となった熊本対北九州。不可抗力による試合中止をJリーグはどう取り扱うべきなのか?

text by 植田路生 photo by Kenzaburo Matsuoka , Ryota Harada

【アルゼンチン】中断時の残り時間を前後半で分け、キックオフで再開される

 アルゼンチンでは、台風や雷雨でなくても悪天候の際は試合が中断されることがある。2008年11月に行われたウラカン対サンロレンソでは、強い雨のため開始16分で中断となり、翌日に再開された。再開試合は残り時間だけとなるが、アルゼンチンの特徴は、残りの時間を前半と後半に分けること。

 ウラカン対サンロレンソの場合は、未消化の74分を37分ずつに分けて行われた。もし60分(後半15分)で中断されれば、再開試合は15分ハーフとなる。この理由は中断前と再開時とではピッチや気候の条件が違うので、改めて両チームに平等な条件を与えるためだ。もちろん、スコアは中断時のものを引き継ぐ。

 再開試合のメンバーは、前の試合と同じにする必要はない。ただし退場者があった場合は、その人数を減らさなければならない。また警告も生きている。中断時の試合で警告を受けた選手が、再開された試合で警告を受けると退場となる。

 そして試合の再開は、キックオフで開始されるのが基本だ。前の試合がFK、GK、CK、スローインの直前に中断になっても、FKなどから開始することはない。ただし、PKは例外。PKを蹴る前に中断されれば、PKから再開となる。

 再開試合は勝敗を決することが最大の目的で、サポーターのことはほとんど考慮されない。たとえば日曜日の試合が中断された場合、翌日の月曜や火曜の昼間に再開されることもある。観客の入場は中断された試合のチケットで可能。チケットがない場合は、主催者の判断にもよるが、試合時間が短くても正規の入場料を払わねばならない。

 アルゼンチンで最も多い試合中断の理由は、天候ではなくサポーターや選手の暴力行為。この場合は審判やマッチコミッショナーの報告書を委員会が審議して裁定を下すが、再開試合となるケースは少ない。

 両チーム(サポーター)の責任が同等と判断されれば、中断時のスコアで確定される。一方の非が明らかであれば、2-0で勝っていても0-2の敗戦と裁定されることもありうる。

文=三村高之(サッカー批評45、2009年12月発売)

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