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【特集:ボーダーレス化する世界】中東の帰化を巡る、札束と国籍(その4)

text by 編集部 photo by Asuka Kudo / Football Channel

――良い選手は移民の系統を辿って、繋がりのある選手を連れてくるんですね。

「そうですね。主に標的になるのがレベルの高いヨーロッパ。だから主流になってきていますね。ひょっとしたら、日本にもスリランカの熊谷アンドリュー(横浜F・マリノス)がいますし、鈴木武蔵(アルビレックス新潟)のジャマイカ、長谷川アーリアジャスール(FC東京)のイランなどがあるから、各国も早めに取っちゃおうみたいなことをやるかもしれませんよ」

日本の国籍問題とは?

――父親と母親が別の国籍で住んでいるところが違えば、選べる国籍が増える。

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【写真:工藤明日香(フットボールチャンネル)】

「日本だと生まれただけじゃ、外国人は国籍を取れません。それでもアメリカに生まれれば、国籍が取れます。カナダやオーストラリアなんかも1億円を投資すれば、パスポートが取れます。僕のイラク人の友達は、カナダに投資してカナダのパスポートを持っています。どこか行く時にはそのパスポートで行けるから便利だそうです。決して中東だけじゃなくて、投資ビザで国籍を与えてしまう。そうすると、国籍の概念がだんだん無くなって、ボーダーレスになります。

 人が行き来して、いろんな国の人が結婚して、ハーフが生まれて。なかなか純血主義って時代ではないのかもしれない。日本もそろそろ移民を受け入れようか、出稼ぎ労働者を受け入れようか、というところに来ています」

――日本の国籍への意識は世界的に見たら強いのでしょうか?

「そうでしょうね。基本的にいろんな民族がいるってわけでもありませんから。アイヌ民族や沖縄の人達がいますけど。かといって、独立を求めているとかがあるわけではありませんから。国籍ってすごく難しい問題ですけどね。日本人として30年間アメリカに住んでいる人もいれば、逆に在日の人で4代続けて住んでいる人もいます。

 どっちが日本人なんですかって問題になりますよね。サッカーは基本的にパスポートさえあれば良い。別に国を愛してなくても。カランブーはフランスを愛していないので国家も歌わなかったですし、利用する為だけに代表に入りました。

 彼の出身地であるニューカレドニアは国じゃなく、フランスの海外県ですから必然的にフランスのパスポートを持っています。でも歴史的背景もあって本土に対する愛情はまったくないんですよ」

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