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バルサの下部組織に所属する久保健英君。大きく成長した“2つの要素”に迫る

text by 小澤一郎

複数のポジションをこなせる高い戦術理解度

 裏を返すと、世界トップレベルで「ストライカー」という評価を受けるためには、GKが素晴らしい反応で腕を上げても空いてしまう肩上のコースを射抜くシュート技術が必要で、ファン・ペルシーやコンフェデ杯決勝のスペイン戦でのネイマールのゴールは「ぶち抜く」という表現がぴったりなシュートを打つことができる。

 2試合目のセレッソ大阪U-12戦でも久保君は同様のコースへのシュートを決めており、今回のバルサU-12の攻撃陣を見てもそのシュートが打てるのは彼だけだ。

 また、グループリーグ3試合での久保選手は異なるポジションでプレーしている。1試合目は左ウイングとピボーテ(=アンカー)、2試合目は左ウイング、3試合目はセンターフォワードだった。

 異なるポジションでのプレーについて、下部組織のコーディネーターを務めるアルベルト・プッチ氏は「7人制から11人制に変わる年代なので、将来的に選手の適性に合うポジションでプレーさせるために、今は複数のポジションでプレーさせており、技術的、戦術的レベルの向上にも役立つ」と説明していた。

 バルサU-12を率いるマルセル・サンス監督は久保君について「パスをしないといけない時にパスをする。味方と連携しないといけない時には連携する。1対1の場面で敵をかわせない時には味方を使うことができるようになってきた。その意味では、彼が本来持っているドリブルやゴールに向かう姿勢を活かしつつ、バルサのサッカーを取り入れて成長している」と評している。

 左ウイングに入った時には守備時にサイドバックとの連携で課題(マーク、スペースの受渡し)も見えたが、どこのポジションに入っても“的確”にプレーできるポリバレント性を持っている。このポリバレント性を下支えしているのが、高い戦術眼と優れた判断力だ。

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