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バルサの下部組織に所属する久保健英君。大きく成長した“2つの要素”に迫る

text by 小澤一郎

日本の選手たちと比較して最も大きな差とは?

 バルセロナでの2年間で最も成長したのがこの2つで、センターフォワードに入っても周りを使い、周りに使われる連携を判断の中に組み込みながらプレーしていた。よって、密集地帯でボールを受けてもミス(=ボールを失う)を犯すことがない。

 逆に日本のJクラブで日頃「タレント」と評価されるような前線の選手たちは、味方やスペースを意識しない無謀なドリブル突破からボールを失う場面が目についた。

 また、バルセロナ1年目のプレーを見た時と比べると、バルサのパスサッカーや高いポゼッション力の肝であるボールを失った瞬間の切り替えの速さとボールホルダーへの寄せ、フィジカルコンタクト、ボールを奪い取る能力といった面でも確かな成長が見えていた。この守備力を日本の同世代の攻撃的選手と比較すると比べ物にならないほどの大きな差がある。

 そして、この年代での差は残念ながらこの後の世代で差を縮めることがかなり難しく、少なくとも4種の現場レベルでは「久保君は凄い」、「日本のメッシ」と騒ぎ立てている場合ではない。

 最後に久保君についてはまだ12歳の少年であり、いくら「FCバルセロナ」という世界的な看板、ブランドを背負っているとはいえ、過度な期待、プレッシャーを与えるべきでない。

 すでに周囲からは「バルサのトップチームで活躍できるか」という期待や議論も上がっているが、一つだけ言えるのは「日本サッカー界として静かに確信を持って彼の成長を見守れば可能性は少なくない」ということだ。

【了】

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