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サウサンプトン復帰も厳しい状況。李忠成への“2つの向かい風”とは何か?

text by 内藤秀明 photo by Asuka Kudo / Football Channel

今後の目標はやはりFWだけに…

 以上二つ、キープ力の問題、守備面でのインテンシティの問題を考慮すれば、現実的に、レギュラーを獲得するのは難しい。そこで李が目指すべきはひとまず後半途中から出場するスーパーサブの座ではないだろうか。

 李のアジアカップ決勝でのスーパーボレーを日本のサッカーファンなら皆覚えているだろう。ああいう、重要なシーンで得点を決められる選手というのは例え能力で劣っていても、重宝される。

 例えばマンチェスター・ユナイテッドのハビエル・エルナンデスは身体的・技術的な能力はユナイテッドのレベルに到達していない。しかし、守備における献身性、攻撃面でのゴールへの意識、オフザボールでの絶えない動き直し等のサッカーにおけるIQ。

 そしてなにより途中から出て来て、短い時間で重要な得点を決める勝負強さだけで、ユナイテッドで定期的な出場機会を得ていると言っていい。

 李もよく考えてプレーするタイプで、勝負強さはアジアカップで証明している。ではまずはプレミアでサブでも出られる機会を得るために、優先順位の低いカップ戦でもなんでも、試合のチャンスをもらえたら必ず得点を決めること。ありきたりな結論かもしれないが、現状を打破するにはこの一点に尽きる。

 ここ最近は日本代表から遠ざかっている李だが、サウサンプトンの地で再び結果を残せば、スーパーサブとしてブラジルW杯行きの可能性もゼロではない。そのためにも、アジアカップの勝負強さをもう一度、サウサンプトンの地で再現して欲しい。

【了】

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