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CLユベントス戦でコペンハーゲンが見せた賞賛すべき奮闘。サッカーの美しさ、本質とは何か?

text by 宮崎隆司

90分間継続した献身性

 とはいえ、この対ユベントスでコペンハーゲン側がとった戦術はまさにシンプルを極めるものであった。最早コンテ率いるユーベの代名詞(基本布陣)となった3-5-2に対し、コペンハーゲンは“ガッチガチ”の4-4-2。

(もちろんGKも含んだ上での)DF-MF-FWの3本のラインはおよそ完璧なまでにコンパクトに保たれ、ユーベの頭脳とされるピルロにはFW2枚だけでなくMF中央の2枚も同時に、かつ状況に応じて交互にマークすることで適度にその自由を奪っていた(とはいえ、それでもピルロはボールタッチ95回で40本のパスを出し、失敗が僅かに3本のみというのは流石だが)。

 もちろんそれだけではない。ユーベが得意とする最後列(DFライン)からの組み立てに対するプレスの手法も基本通り。ボール保持者に対する厳しいプレスと同時に、前述の通りピルロをケアしながらチーム全体を適度に押し上げ、パスコースを限定させた上で、とりわけユベントスの両サイドに対して効果的なマークを付けていた。

 何ら特別なことではない。だが、それを90分を通して継続させた選手達の献身性は、それでも決定機を何度となく作られたとはいえ、最後の最後で跳ね返す上で常に利いていたと言えるはずだ。

 加えて、この日はGKビラントが(まさに神憑り的とも言うべき)好プレーを連発させては少なくとも4、5点は消している。チーム一丸となって守り切る。このスピリットに溢れた彼らのサッカーは感動的ですらあった。

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