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Jリーグ 11年前

“早熟の天才”宇佐美貴史は古巣ガンバで輝きを取り戻せるか

text by 元川悦子 photo by Asuka Kudo / Football Channel

「自分としてもチームとしてももう一皮むけないと優勝は厳しい」

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「ゲームメークに回る時間を増やしている」と宇佐美はいう【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 とはいえ、宇佐美らしいゴール前でのカミソリ感があまり出ていなかったのは気になるところ。本人はG大阪合流直後の1トップから2トップへ移行したことで、ロチャをより生かすためにゲームメークに回る時間を増やしているのだと言う。

「下がってボールを受けているのは、その方が個人的にやりやすいから。自分が引いて1つ崩しを入れることで、相手は何かしら惑わされるだろうし。それにガンバに入った当初はセンターFWの1トップを任されていたけど、今は2トップなので1つ降りてもいいと言われているんで。

 ただ、今回に限って言えば監督から『ペナの中に入っていく回数が少ない。そのへんを意識しろ』と言われた。だから5-5くらいの感覚でできたらもっとよかったですね。

 自分としてはフィニッシュと組み立てを柔軟に出せるようにしたいと考えてトライはしてます。その方が幅も生まれるし。この1試合よくなかったからと言って、全てを否定される理由はない。

 引いて下がるプレーとペナの中でストライカーのようなプレーをするシーンを使い分けられたら自分のためになる。自分としてもチームとしても終盤戦に向けてもう一皮むけないと優勝は厳しくなるだろうし、高い意識を持ってやりたいです」

 フィニッシュに関しては少年の頃から「怪物」といわれてきた宇佐美だが、オフ・ザ・ボールの動きやチャンスメークのところでは課題を抱えていた。日本に戻って自分に足りない部分を再認識したのはプラスだろう。前から相手を追うアグレッシブな守備も含めてまだまだ改善の余地はある。

 彼と同じように10代の頃から「天才」といわれた柿谷曜一朗がここ1年で課題を克服し、一気にブレイクしたように、宇佐美も同じような道を辿れるはず。自分自身をつねに客観視して、積極的なトライを続けてほしい。

【了】

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