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連載コラム 11年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。日本サッカーと関係の深い、エメルソン・レオンの光と影

監督としての滑り出しも上々

 監督としての滑り出しも上々だった。87年にペルナンブッコ州レシフェの『スポルチ』で選手兼監督に就任した。そして全国的には中堅クラブといえるスポルチをブラジル全国選手権に相当する『コパ・ウニオン』(この時期、サッカー協会が混乱しており、全国選手権が開催できなかった)で優勝させた。

 スポルチは2002年に元日本代表の廣山望が所属した。筆者は廣山を取材するために、しばらくレシフェに滞在したことがある。スタジアムのトロフィールームにはレオンの名前が残っていた。10数年経った後でも、美しい海岸を持つレシフェでレオンは英雄扱いされていた。

 レオンに初めてきちんと話を聞いたのは、97年のことだった。

 レオンは95年に清水エスパルス、96年にヴェルディ川崎の監督を務めている。彼を日本に連れて行ったのは『キング・ファーザー』こと三浦知良の父の納谷宣雄である。ぼくは納谷に口を利いてもらい、レオンと会うことになった。この時『アトレチコ・ミネイロ』の監督となっていた。

 レオンから待ち合わせ場所に指定されたのは、チームが宿泊しているホテルのロビーだった。少し予定の時間より早めにホテルに向かった。

 すると、ロビーにはレオンの姿があった――。

 ブラジルのサッカー関係者と約束して、時間通りに来る人間はほとんどいない。ましてや時間前に着いているとは予想していなかったので慌てた。

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