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完成しかけたチームを“壊した”ブラン監督。PSGの新システムは吉と出るか?

text by 小川由紀子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

これまでの好調は組織力ではなく個のひらめき

 ブランは、5節から採用したモッタ、マテュイディ、ベラーツィによる中盤の三角形を気に入っている。的確にパスがさばけるバランサーのモッタが底、爆発力のあるマティディを前に出し、ビジョンが抜群で、たまに局面を瞬時に変える“奇パス”が出せるベラーツィが2人の中間と、3人は三角形というより「く」の字型に近い配列で中盤を埋める。

 当初は、マテュイディの無鉄砲な飛び出しで中盤のスペースに穴を開けることが多々あったが、モッタとベラーツィが絶妙にバランスをとることで、試合数を重ねるごとにこの3人の機能性は向上している。

 パストーレを布陣に加えるなら、マテュイディからベラーツィのバックアッパー、もしくはサイドだが、サイドにはルーカス、メネーズら専門家が控えている。

 致命的な連敗でもない限り、ブランは当分このシステムを使い続けることだろう。しかし、冒頭にも書いたように、ここまでのPSGは、組織力ではなく、個人のひらめきで得点を重ねている。

 言うなればそれが彼らのスタイルかもしれないし、それが最後まで続くなら結構だが、時間をかけて芽生え、昨季の終盤、ようやく完成に向かいつつあったチームとしての良い形が、今季、より熟成して「本物」になるのを見たかった気もする。

 前任者の産物をそのまま引き継ぎたくない、自分の采配で試したい、という男のメンツのようなものがブランにあったのだろうか? それとも、巷で囁かれているように、システム変更は上層部の命令だったのか?

 首をかしげながら、彼らの戦況を見守る日がしばらく続きそうだ。

【了】

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