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代表 11年前

明日、日本代表と対戦。試合前に知っておきたいセルビア代表とお国事情

W杯で起きた国歌へのブーイング

 スタジアム内外で、何かと問題を起こすセルビアサポーターだが、そのやんちゃさとは反対に、一人ひとりはとても信心深い。その信心深さと関係があるかは微妙なところだが、スタンドでは、親指と人指し指と中指の三本の指を立てたサポーターの姿を見かけることがある。

 三本の指は、キリスト教の三位一体(父と子と聖霊が一体「唯一の神」であるとする教え)を表す。国歌斉唱時の彼らの両手に注目してほしい。

『正義の神』

正義の神よ 救い賜え
かつて我らを破滅から救ったように
これからも我らの声を聞き届け
我らを救い賜え
万能の御手により 導き守り賜え
セルビア民族の未来を
神よ 救いたまえ 養いたまえ
セルビアの地を セルビアの民を

 この国歌はセルビア公国時代に作られ、その後セルビア王国が採用したものを一部歌詞を変え、新しいセルビア共和国が引き継いだ。それまでは、旧ユーゴスラビア時代の国歌が歌われていた。

 2006年ドイツW杯での国歌斉唱を覚えているファンはいるだろうか。セルビア共和国が独立宣言をしたのが2006年の6月3日で、グループリーグ第1戦が6月11日だった。そのため、選手たちは予選のままの「セルビア・モンテネグロ代表」として出場。国旗も国歌も分離独立前のものが使われた。

 セルビア・モンテネグロという国家は地球上から消滅していたにもかかわらず、W杯のサッカー代表だけが存在するという、歴史上稀な事態が起きたのだ。

 旧国歌『スラブ人よ!』が始まったとたん、セルビアおよびモンテネグロ両サポーターからの大ブーイングが起きたのは言うまでもない。

 その後は、両国とも新しく定められた国旗国歌を使用している。

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