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日本代表 11年前

UAEで開幕したU-17W杯に挑む“96ジャパン” 前回大会のようなセンセーショナルを巻き起こせるか?

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / Football Channel

技術的に優れた選手が多く配置される

 彼らを超える成績を目指す“96ジャパン”は前の世代と同じくパスワークを活かした攻撃的なスタイルを打ち出しながら、吉武監督が「共鳴」と表現するイメージのシンクロを高めることにフォーカスし、そのための技術と体力の強化にも励んできた。基本システムはバルセロナに似た[4-3-3]だが、トップの中央に位置する“フリーマン”と呼ばれる選手はメッシよりセスクのイメージが強い。

 つまり、左右のウィングより少し下がり目のファジーな位置でボールを受けるが、いきなりフィニッシュに持ち込むより、1タッチ、2タッチで周囲に捌いてリズムやアクセントを作り、崩しの布石となる。その役割を担う選手がU-16アジア選手権の最優秀選手でもある杉本太郎(帝京大可児)だ。精確な技術と瞬間的な判断力に優れる杉本を起点に、“フロントウィング”の小川紘生(浦和ユース)や渡辺凌磨(前橋育英高)が共鳴して敵陣をかき回していく。

 彼らの多彩な仕掛けを中盤から支えるのはアンカーの鈴木徳真(前橋育英高)、インナーハーフの会津雄生(柏U-18)や三好康児(川崎F U-18)だが、彼らの特徴は攻守の運動量と速いパスの正確性、そして味方のパスコースを常に作る動きに優れていること。特に三好は“フロントウィング”や“フリーマン”もこなす万能型のアタッカーだが、MF登録の選手たちはどこかしら複数のポジションを持っており、大会の流れに応じて吉武監督は臨機応変に起用していくことになるだろう。

 ディフェンスラインに前回の岩波&植田コンビの様な大型CBはいない。その代わりに技術力が非常に高く、ピンチの直後でもしっかりとボールを動かして日本の攻撃リズムを立て直せる選手たちだ。

 その中心として期待されるのが宮原和也(広島ユース)だ。もともとの本職は攻撃的なMFの選手だが、クラブでケガ人が出たことから急きょ務めたCBでブレイクした。上のカテゴリーでは再びMFとして起用されていくはずだが、172センチという上背を補ってあまりある守備センスとスピリットは必見だ。

 その宮原とCBコンビを組むのは179センチの三竿健斗(東京Vユース)か。ラインをコントロールしながら、体を張るべきところでは晴れる好選手で、U-16アジア選手権の後に伸びてきた選手の1人だ。

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