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日本代表 11年前

UAEで開幕したU-17W杯に挑む“96ジャパン” 前回大会のようなセンセーショナルを巻き起こせるか?

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / Football Channel

バックラインの平均身長が170センチ以下?

 左右のSBは坂井大将(大分U-18)と石田崚真(磐田U-18)が担う。抜群の走力を誇りながら、中盤に流れてボールを捌くことも、CBをカバーしてバイタルエリアを防衛することもできる。全員攻撃・全員守備を象徴する選手たちだ。本来の主力である佐々木渉(F東京U-18)が直前にケガで離脱したが、162センチと非常に小柄ながら闘争心に溢れる坂井に、補って余りある活躍を期待したい。

UAEで開幕したU-17W杯に挑む“96ジャパン”
185センチコンビだった岩波拓也【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 仮に石田、宮原、三竿、坂井をバックラインのセットとした場合、平均身長は170センチに満たない。日本が主導権を握る展開となれば、屈強な前線を誇るロシアやベネズエラはロングボールを蹴り込んでくることも考えられる。

 “プラチナ世代”を擁した前々回は相手に戦略的なパワープレーを多用され、早期敗退を余儀なくされた。その経験もあって前回は早い段階から大型選手を探し、岩波&植田の185センチコンビを誕生させた背景もあるが、その“94ジャパン”に続き“96ジャパン”を率いる吉武監督にはしっかりした算段があると考えられる。これはある意味、日本の新たな挑戦とも言えるだろう。

 GKは3人がそれぞれ個性を持ち、現時点で優劣は明確になっていないが、それこそスタッフの狙いでもある。U-16アジア選手権から定着する林瑞輝(G大阪ユース)に白岡ティモシィ(広島ユース)と阿部航斗(新潟ユース)が挑む構図だが、中でも190センチの体格を誇りながらセンスもある白岡には個人的に期待するところが大きい。いずれにしても、彼らの幅広いゴールキーピングと攻撃の起点としての働きなしに、グループリーグを突破し、決勝トーナメントを勝ち抜いて行くことは不可能だ。

 吉武監督は「7試合の経験値」を強調する。今回の目標は決勝進出だが、日本にとって快挙となるタイトルを勝ち取ることはもちろん、同世代の強豪と世界大会でできるだけ多く、先のステージで戦うことにより、さらに上のカテゴリーで戦える選手に成長するための大きな経験値を獲得することが真の目的だ。そして“96ジャパン”の名前通り、全国の同年代の選手たちを代表して戦うことで、刺激を与える役割も担う。

 世界を舞台に、どこまで経験値を積み上げることができるのか。“96ジャパン”に注目だ!

【了】

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