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アーセナルで奮闘を続ける宮市亮。トップチームへ定着するために求められること

text by 斎藤史隆 photo by Asuka Kudo / Football Channel

数少ない出場機会をどう生かしていくのか

 宮市は過去3季、フェイエノールトとボルトン、ウィガンに期限付きで移籍。今季は初めてアーセナルでの本格的なシーズンを迎えている。しかし、今も若手選手の一人とはいえ、20歳となり、立場は微妙に変化している。

 まだ若いとはいえ、決して第一線で活躍できない年齢ではない。事実、ウォルコット、ラムジ、ウィルシャー、チェンバレンといった選手は20歳の時には主力の一角を担っていた。もちろん、選手によって成長度は違う。しかし、同時に将来性を期待させる力も見せなければならない。その面では宮市の現状は数年前のチームメートと同レベルに達しているかと聞かれれば疑問が残る。

 一方、自信よりも若い後続を気にしなければならない現実も突きつけられている。代表格は9月28日のスウォンジー戦で先制点を挙げた18歳のグナブリーだ。

 宮市とも重複する2列目のサイドの選手だが、スウォンジー戦前のストーク戦でも宮市を差し置いて先発出場。WBA戦ではともにベンチ入りしたが、どちらかを投入する状況になっていれば、おそらく宮市より先に起用されていたであろう。つまり、現在の宮市はウォルコットやチェンバレンといった年上を追いかけるだけでなく、年下との競争も始まっているということだ。

 そういった点では延長戦を含めて120分間出場した9月25日のリーグ杯のWBA戦は消化不良の内容だった。前半は左サイドから好クロスを送る場面もあったが、徐々に光る場面は少なくなっていった。本人もよほど悔しかったのであろう。試合後は何度も「納得しない」と何度も繰り返した。

 代表戦も終わり、アーセナルは再びリーグ戦とCLを中心にした戦いが再開する。チームは依然として負傷者を抱えており、リーグ杯を中心に宮市にもチャンスは訪れるだろう。果たしてそれをものにすることができるのか。

 ベンゲル監督も言う。「若手選手は常にけが人が出ている時にチャンスをつかむものだ。メッシのような天才であれば、17歳からでも出場できる。しかし、普通の若手選手の場合はそうはいかない」。

 数少ない出場機会をどう生かしていくのか。宮市の奮闘は続く。

【了】

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