フットボールチャンネル

セリエA 11年前

カルチョの国からの最先端戦術理論(前編)「セットプレーとはサッカーとは別な競技である」

text by 宮崎隆司 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

セットプレーからの得点が欧州ナンバー1のフィオレンティーナ

 いずれにせよ、ここでは、このヴィオ・ジャンニという(もう本当にマジでモロに)サッカーが好きで好きで堪らないんだよ的な明るいオーラを出しまくってるオッサン(失敬)が語った中身、その一部をご紹介したい。

 まず記しておくべきは、「セットプレー専門」のコーチを持つチームは現状、ここイタリアのセリエAではフィオレンティーナが唯一ということである。そして、恐らくはその成果なのであろう、昨季(12/13シーズン)にフィオレンティーナが記録したセットプレーからの得点は23。

 これは伊国内のみならず欧州主要リーグ全体でみても第1位の数字である。加えて、その23ゴールの内、6ゴールを決めたのはDFゴンザロ・ロドリゲス。この数字6もまた欧州1である。

 今季も開幕から6節を終えた時点で3ゴール(全得点は13)。昨季の実績ゆえに各クラブが徹底的に研究してきているのだが、今のところはヴィオの更新と新たな作戦は敵の対策を上回っていると言えるだろう。

 ヴィオいわく、「この切磋琢磨が最高に面白い」という。確かなのは、フィオレンティーナのセットプレーが脅威だからこそ、とりわけバイタルエリア付近でのファールを敵が恐れるということだ。当然、これは敵の守りが“緩くなる”ことを意味する。

 なお、この手の数字(ヴィオの実績)は多々あるのだが、一例を記すとすれば、それはやはり前述のスイス(チーム名はルガーノ)における仕事である。10/11シーズンの残り8戦で招聘されると、即座にセットプレーの在り方を修正。するとチームはその8戦で何とセットプレーから12ゴールを記録してみせた。ちなみに、ヴィオが来る以前の同スコアは「ゼロ」である。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top