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ホーム全勝だがアウェー未勝利。超内弁慶チーム・ボルシアMGを包む熱狂

text by 本田千尋

熱気に包まれるスタジアム

 ファブレ監督率いる現ボルシアMGの特徴は、動物的な感性と技術を併せ持つブラジル人ラファエル、ベネズエラ代表アランゴ、そして闘志を全面に押し出すドイツ代表クルーゼの3人が前線で形成するトライアングル、ということに尽きるだろう。

 基本的にはラファエルとクルーゼの2トップに、左サイドにアランゴが構えるのだが、その連係は流動的で、クルーゼが下がって他の2人が飛び出すことがあれば、ラファエルもしくはアランゴが下がってまた他の2人が飛び出すこともある。

 ホームスタジアムのボルシアパークは、緑と白で身を包んだファンで常にほぼ満員だ。瓶ビールを片手にスタジアムに向かうのが、ブンデスリーガのファンのスタイルである。

ボルシアMGのファンも、緑と白の帽子やマフラー、ユニフォームに身を包んで、ビールを呑みつつボルシアパークへと向かう。バスの中では、既に出来上がっている年配の方々が昔日の念に駆られたのか、70年代のライバル、バイエルン・ミュンヘンを罵る歌を合唱する。

 54,000人収容の簡易で近代的なボルシアパークは、バイエルンのアリアンツアレーナやシャルケのヴェルティンスアレーナには及ばないものの、そのコンパクトな形状が、返って人々の熱狂を増長させているのは間違いない。ゴール裏は常に気合い満点で、力が漲っている。

 その情熱に促されて、ボルシアMGは前線の3人を中心に、ホームゲームでは攻撃を加速させていく。「攻撃、攻撃、攻撃、そしてまた攻撃」という遺伝子は今も途絶えていない。第8節、劣勢が十二分に予想される中、ボルシア・ドルトムントを相手にしても、ボルシアMGは勇猛果敢に戦った。

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