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日本代表 10年前

司令塔不在、過度の対策なくても流れるようなパスワーク。吉武監督はU-17日本代表に何を植え付けたのか?

text by 河治良幸 photo by junior soccer editorial staff

94年よりも完成度の高い96ジャパン

「ボールが来る前に激しくプレッシャーをかけて、体を当てずにボールを奪う」というのは“96ジャパン”が掲げる守備のコンセプトだが、1人のプロとしていざ当たったところでも個人に負けない、跳ね飛ばされずに止めることは吉武監督も求める。だからこそ、練習に体幹トレーニングを取り入れ、1対1を想定したトレーニングも軽視はしていないのだ。

「僕がセンターバックに大事だと思うのは集中力と予測。その上で身長が高いに越したことはないんですけど、なかなかいない。それを言い訳にはしないで、日本の良さを出す戦い方を模索していて、逆にどんどんぶつけたい。

 やっぱりダメだったのか、結構できるのか。だからセンターバックの問題だけじゃなくて、前からプレッシャーをかけない限りいくら速くて大きい選手がいたって絶対にやられるので」(吉武監督)

 ベスト8に輝いた“94ジャパン”よりも「仕上がりの完成度は高い」と吉武監督。すでに決勝トーナメント進出が決まった状態で臨むチュニジア戦に向けても「自分たちがやってきたことは間違いないので、勝ち負けよりも、もっともっと確信を持ってやれる様な3試合目にしたい」と語る。

 もちろん勝利という結果は大事だが、それを目指す上で彼らが何を日本のストロングポイントとして発揮しようとしているのか。そこに注目していくと、尖鋭的な“96ジャパン”を通して日本の未来像も見えてくるかもしれない。

【了】

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