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日本代表 11年前

司令塔不在、過度の対策なくても流れるようなパスワーク。吉武監督はU-17日本代表に何を植え付けたのか?

遠い中東の地でU-17日本代表が躍動している。全員攻撃・全員守備が実践できているのは吉武監督が選手の自主性を重んじているからではないだろうか。

text by 河治良幸 photo by junior soccer editorial staff

“守っていないところ”を攻めるコンセプト

司令塔不在、過度の対策なくても流れるようなパスワーク。吉武監督はU-17日本代表に何を植え付けたのか?
吉武博文監督【写真:ジュニアサッカーを応援しよう!編集部】

“共鳴”を合言葉に多彩なパスワークとコンパクトな守備を融合し、世界の舞台で“全員攻撃・全員守備”を表現している“96ジャパン”だが、そのエッセンスになっているのが選手の自主性だ。

 素早いパス回しとそれを実現するためのボールスキルとボディシェイプ。基本コンセプトは練習から徹底して植え付けるが、それをベースに選手たちが試合で何をするかは選手たちが試合で感じた「ファースト・インプレッション」次第だ。

 例えば2試合目のベネズエラは3バックで守ることは分かっているが、どういう3バックなのかはいざ始まって、選手が感じ取るべきものだと吉武監督は考える。

 事前に相手の情報と対処法を教えすぎてしまうと、「日本の選手はそれに固執してしまう」(吉武監督)ため、映像を見せる時でもベネズエラがこうだから、こう攻めよう・こう守ろうではなく、シチュエーションに応じた攻め方、守り方を考えるための参考資料として提供しているとのことだ。

 攻撃に関して大きなテーマは、相手の“守っていないところ”を攻めるということ。この言葉はミニゲームなどを見ても「ほら、今はどこを相手が守っていないんだ?」といった言葉を監督やコーチが常に投げかけている。

 ポゼッションとしてボールを失わないことは大事にしているが、常に相手の隙を狙うことを意識し、ここと思った場所を見出せばどんどん突いていく。

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