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鉄人の声を聞け プロ20年目の達観――服部年宏(FC岐阜)

text by 海江田哲朗 photo by Kenzaburo Matsuoka

若手へのメッセージ

――J1、J2、さらにはJFLと、さまざまなカテゴリーで522試合に出場。この成果については?

「みんなJFLで一度はやってほしいよ(笑)。もし自分のように将来の指導者を考えるなら絶対に経験したほうがいい」

――プレー環境の違い?

「主にハード面かな。J1のような設備の整った施設はない。選手も全員がプロではない。J1で引退した選手は知らない世界がある」

――真夏、炎天下で13時キックオフの試合がありますよね。

「試合が終わって最初に思うのが、あー生きててよかった、ですよ。シャワーを浴びようと思ったら先に審判が入っていて待たされたり。いろいろ勉強になりました」

――2010年、JFLのMVPとベスト11に選出されました。

「事前に雰囲気で察していて、自分がMVPを受賞するのはどうなんだろうと……。もちろん常に全力でプレーしたし、その御褒美なのかもしれないけど、特別なことは何もしていないと思っていた。それならアマチュアの選手がもらったほうが、例えば会社からボーナスが出たり、何らかの役に立つのではないかと」

――過去、JリーグとJFLのベスト11をともに受賞した例はありません。

「珍記録でしょ?」

――東京Vに在籍時、マッサージや治療など身体のケアを入念にしていたのを記憶しています。ここまでプレーできているのはその賜物ですか?

「それがですねえ、ここ何年もほとんどしていません。ヴェルディの頃はアホみたいにやっていたのにね(笑)」

――何ともないんですか?

「平気になっちゃったんです。言っとくけど、鳥取や岐阜のトレーナーさんを信用していないわけではないからね。練習場を転々として、すぐに身体のケアができる環境ではなかったので、自然とそれ以外の方法を考えた。といっても練習後に自転車でトレーニングを行う程度のことだけど」

――フィジカルの変化は?

「相手のボールを追って、1本目、2本目のダッシュは行けるけど、3本目がキツく感じるようになった。また、回復がやや遅くなったのは感じる。試合の2日後まで疲労が残ることも。まあ、丈夫な身体を授けてくれた親に感謝ですよ。ひざの故障を一度もやっていないのは助かってます」

――栄養管理は?

「特に節制はしていません。嫁さんが出してくれる食事をそのまま食べている。昼食はグラウンド近くの喫茶店でランチをしたり、うどんを食べたり」

――ピッチ外の過ごし方の変化は?

「選手同士で飲みに行く回数が極端に減った。あとはゴルフとか余計なことをやらなくなった。趣味は子育て。それがいいのかもしれない。年をとってからのほうがむしろ元気です。鳥取での2年間は一度も練習を休んでいない」

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