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サッカー本の「診察室」を開いた理由。『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』佐山一郎氏インタビュー(その1)

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

びっくりした電子書籍

サッカー本の「診察室」を開いた理由。『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』佐山一郎氏インタビュー(その1)
佐山一郎氏【写真:宇都宮徹壱】

──私もあと3年で50なので、ちょっと身につまされますね。そろそろ本題に移りたいと思います。今回上梓された『夢想するサッカー狂の書斎』は、サッカー本の書評を集めた作品なんですけど、佐山さんの作品としては「VANから遠く離れて――評伝石津謙介」(岩波書店)以来ということになりますでしょうか?

佐山 実はその間に、7月発売の電子書籍を1つ挟んでいたりするんです。

──あ、『ブレない「私」の作り方“しのぎの時代”のサバイバル読書術』(山城パブリッシング)ですね。こちらは電書とオンデマンドでの販売だったようですが

佐山 そうなんです。ところが、オンデマンドで本にしちゃうと、びっくりするほど哀れな教則本みたいな本作りになってしまうんですね。電書はKindle版で85%引きの250円におさえられても、オンデマンドペーパーバックのほうは、1680円。まあ、わかっててやったことですけど、ようするに自費出版に近いというのが実状ですね。

──そうした中で、久々に手にとって嬉しいというか「これぞ書籍」という作品を世に送り出されたわけですが、評判の方はいかがでしょうか?

佐山 まだわからないですね。『Number』の最新号ではブックディレクターの幅允孝さんが、実にもう好意的かつ同志的に書評してくれました。でも、たぶん新聞の扱いとかは冷たいんじゃないんじゃないですかね。時間はかかっても、どこかで火が点けばいいんだけど。

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