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日本代表 10年前

強豪との戦いだからこそザックジャパンが意識すべきこと

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / Football Channel

求められるのは基本スタイルの一歩先

 攻撃面のディテールに関しては様々な考えがあり、現時点で十分にすり合わさっていないことは確かだ。ただ、選手たちの間で方向性に違いがあるとしたら、基本スタイルではなく、うまく行かない時や相手に予想外の出方をされた時、早い時間に失点した時などの攻守のマネージメントだろう。

 オランダは日本と同じく中盤のパスワークを重視しており、これまでの強豪との試合以上に日本が主導権を握れない時間帯が長くなることが予想される。

「もちろん苦しい時間帯は出てくる中で、自分たちがどういう試合運びができるかは課題」とキャプテンの長谷部は語り、GKの川島も「ただ自分たちの力がどのぐらいかを測る試合ではない。自分たちがW杯で戦って行く中での戦い方という意味で、これだけの相手とできるのは大きい」と語る。

 理想としては基本スタイルや[3-4-3]の様なオプションの引き出しをより安定したレベルに高めた状態で、オランダとベルギーに挑みたかったことは間違いないが、この2試合を終えたら国際Aマッチは来年3月の1試合を残すだけとなる。

 もう本大会に向けた戦い方を、基本スタイルだけでなく、試合のマネージメントも含めてチームとして意識して行くべき段階に来ているのだ。

 本大会の具体的なプランニングは12月の抽選会で対戦相手が決まってからになるはずだが、厳しい試合になることは間違いないオランダ戦で、主導権を握る意識は持ちながら、厳しい状況でどういった選択をするのか。

 ザッケローニ監督が「現在最高のチーム」と評価するオランダを相手に、“自分たちの隙を与えずに相手の隙を突く”研ぎ澄まされた戦いを追及してほしい。指揮官が言う“いい内容”というのもその先にあるはずだ。

【了】

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