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香川真司 10年前

守備では貢献し現地評は及第点。トップ下・香川活かせぬマンUのスタイルとサポート不足

text by 内藤秀明 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

香川は左ウイングへ、そして「蹴るサッカー」に

 良いパスが届かず、ウェルベックとポジションが被るという、トップ下・香川にとってネガティブな要因が重なった結果、30分過ぎた頃には完全に香川とウェルベックはポジションを変更し、香川は左サイドとしてプレーしはじめた。

 以後、ユナイテッドは、香川のプレースタイルとは対局に位置する、クロスやロングボール中心の「蹴るサッカー」を展開する。

 そして皮肉にも、この「蹴るサッカー」はある程度機能しはじめる。

 攻撃パターンは大きく二つ。一つは右サイドからシンプルなクロス。もう一つは、相手の最終ラインが高い状態で、ウェルベックを裏に走らせるというものだ。

 実際、32分の1点目は、フィル・ジョーンズのアーリークロスが相手のクリアミスを誘い、そのこぼれ球をルーニーが詰めてのもの。57分の2点目は、ウェルベックが裏に抜け出し、トッテナムGKウーゴ・ロリスに倒されPK獲得。そのPKをルーニーが再び決めた。

 この「蹴るサッカー」がある程度機能しはじめた時点で、香川は必要ではなくなっていた。前述のように香川は守備で奮闘しているとはいえ、依然スコアは2-2の同点で得点が必要。ならば、「蹴るサッカー」では機能しない香川を起用しつづけるべきではなかった。

 香川は少しずつではあるが、英国のサッカーに適応しはじめている。とはいえ、トッテナム戦で活躍するには、難しい状況が重なってしまった。

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