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香川真司 10年前

守備では貢献し現地評は及第点。トップ下・香川活かせぬマンUのスタイルとサポート不足

text by 内藤秀明 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「剛」の中で求められる「柔」の能力

守備では貢献し現地評は及第点。トップ下・香川活かせぬマンUのスタイルとサポート不足
香川が気をつけなければならないのは怪我【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 とはいえ、そんな向かない展開ながら試合終盤までのプレーさせてもらえた事実は、香川の序列がモイーズ監督の中で向上していることを意味する。ロビン・ファン・ペルシーが不在で、控えのナニは不安定。

 アシュリー・ヤングも不調という要素があるとはいえ、ここ最近の起用法をみる限り、香川がユナイテッドにおいて「レギュラークラス」の選手になっていると認識して問題ないだろう。

 今後、香川が今のパフォーマンスを続けていれば、干されることはないだろうし、いくつかの運が重なり一度得点を決めれば、以後ゴールは「ケチャップのようにドバドバと出る(本田圭祐)」だろう。

 もし香川が得点まで決めるようになれば、鬼に金棒。ファン・ペルシーが怪我から復帰したとしても、香川はトップ下もしくは左サイドでプレーし続けることは可能だ。

 ならば香川が気をつけなければならないのは怪我。これは日本人選手全員に言えることだが、どうしても強度の高いリーグにおいて、小柄な日本人は怪我を負いやすい。

 今季の香川をみている限り、少し身体的な強さも手にいれ、体のぶつかり合いや、怪我への耐性もついたように見えるが、それでも香川のフィジカルは弱い側に該当する。力と力でぶつかれば、強いほうの力が勝つのは自明。香川がパワーで勝負すべきでないのは明らかだ。

 守備の場面ではある程度ぶつかり合いも必要とするが、攻撃面では相手をうまくかわし、削られないように心がけたい。

 剛と剛のぶつかり合いこそが至上で、それこそが魅力とされるプレミアリーグにおいて、香川は数少ない柔能く剛を制す選手だ。ひしめく剛の中で輝く柔も魅力的であることを英国人に見せつけて欲しい。

【了】

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