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マンUの中では貴重な存在。MFマイケル・キャリックはなぜ香川真司と呼吸が合うのか?

text by 清水英斗 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

香川が「やりやすい選手」と評価

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香川も「やりやすい選手」と評する【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 キャリックは、自分のできること、できないことをハッキリ認識し、非常にシンプルにプレーする選手だ。パスには1本1本必ずメッセージが宿り、味方選手が次のプレーに移りやすいように気を使ってボールを渡す。

 前に行こうとする選手には必ず前足、相手にマークされているときは後ろ足。ボールスピードも、味方がマークされているときは速く鋭いボール、フリーなときはゆるやかに。そのパスもむやみに浮かせたりせず、次のモーションに移りやすいような美しいインサイドキックを蹴る。

 パスの出しどころの優先順位もハッキリしていて、相手ゴールに近い位置から順に計算し、縦パスがすべてダメというときに初めて横にパスを出す。まとめると、派手さはないが、基礎的な部分を忠実にこなせる選手と言える。

 ユナイテッドのパサーと言えばポール・スコールズだが、彼との違いで言うと、スコールズは長いサイドチェンジなどのボールを多く蹴り、ゲームの局面を大きく動かすタイプ。比較すると、キャリックは中短距離のパスを好み、その中で細かい動き直しを欠かさず行っている。その点ではキャリックに分がある。

 香川真司がキャリックを「やりやすい選手」と評しているのは、そうした部分と、さらにシンプルにプレーすることだろう。たとえば、ウェルベックはパスを受けると、そこからチームのリズムを変えてしまう典型的な選手。周囲を見ずに自分のリズムだけでプレーする選手には、なかなか香川タイプが呼吸を合わせるのは難しい。

 しかしキャリックは、攻撃陣がプレーしやすいようにリズムを合わせてくれる選手なので、香川にとって決して多いとは言えない、ユナイテッドにおける「やりやすい」選手になっている。

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