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ライバル復帰も替える理由はない――。成長を続ける酒井宏樹が勝ち取った『信頼感』

フランクフルト戦に勝利し、連敗を止めたハノーファー。日本人SB酒井宏樹はこの日も先発フル出場、勝利に貢献した。成長を続ける酒井はチーム内での存在感も大きくなり、監督からの信頼も勝ち得た。ライバルであるチェルンドロが復帰したが、彼をすぐ替える理由はない。

text by 本田千尋 photo by Ryota Harada

フランクフルト戦の前に行われた決起集会

 酒井宏樹は着実に成長を続けている。

 そして酒井によれば、「SBというポジションは、人のために走るようなポジション」なのだと言う。

 少し長いトンネルだった。12月1日ブンデスリーガ第14節、対アイントラハト・フランクフルト戦、ハノーファー96は2-0のスコアで勝利を収めた。単なる勝利ではない。9月21日第6節アウクスブルク戦以来、およそ2ヶ月ぶりにもなる勝星である。

 HDIアレーナの頭上には、雲が垂れ込めている。冷たい灰色の日曜日、15時30分キックオフのゲームで、15位フランクフルトを相手に13位ハノーファーは終始優勢に時計の針を進めた。酒井は右SBとして先発出場する。

 互いに慎重な姿勢を見せた立ち上がりだった。15位に沈むフランクフルトはもちろんのこと、しばらく勝利から遠ざかっているハノーファーも、どうしても勝ちがほしい一戦だった。

 酒井によれば、今試合の週に選手ミーティングが行われたという。スティーブン・チェルンドロ、ラース・シュティンドルが発起人となった。ここでまたチームとして一つになろう、と。その出来事を考えてみても、やはり重要な一戦だったのだ。

「今シーズンのこのチームの4バックはサイドバックが全てなので、しっかりとした守備もそうですけど、しっかりとした攻撃にも繋げないといけない」とかつて酒井が語ったように、ハノーファーはディフェンスラインを中心とする堅実な守備から、前線のCFジュフにボールを当てて時間を創り出していく。開始15分を過ぎる頃には、ハノーファーが徐々にペースを握り始めていた。

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