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香川真司 10年前

香川を機能させる起用法とは? トップ下起用で攻撃に化学変化をもたらす理想的布陣を探る

text by 内藤秀明 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

モイーズ監督は香川をこの試合起用すべきだったか

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バレンシア個人は好調を維持しているが…【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 中央で輝けなかった香川は、しぼってくる左ウイングのダニー・ウェルベックに押し出されるように、左サイドでのプレーが増える。30分を過ぎるころには、香川のトップ下+ウェイン・ルーニーのワントップで構成する4-2-3-1から、ウェルベックとルーニーの2トップという形の4-4-2にシステムを変更。攻撃の方向性も、ロングボールや強引なクロス中心に変わっていく。

 特に右サイドのバレンシアは縦への推進力で好調をアピール。トッテナム左サイドバックのヤン・フェルトンゲンを困惑させ続けた。

 ただし、この英国的なサイドアタック中心のサッカーだと、香川は輝けないない。守備で奮闘していたため、足を引っ張ることこそなかったが、起用の必要性も感じなかった。

 はっきり言うと、良いパスが供給できない中盤選手を起用し、強引なサイドアタックを仕掛けるなら、時折ワールドクラスのプレーでサプライズを提供してくれる、ナニを起用しておくべきだった。その意味では、香川のトッテナム戦での起用はデイヴィッド・モイーズ監督のミスとも言える。

 しかし、このメンバーで香川が機能しない可能性があったのは、モイーズ監督も百も承知のはず。それでも起用したということは、香川に対する期待が大きかったことを意味するのかもしれない。

 いずれにせよ、モイーズ監督の実験は失敗に終わった。あらためて、「パスの出し手がいないチームに香川を投入しても、特に化学反応は起きない」という実験結果がでてしまった。

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