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2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って:第2回 大木暁(駒澤大3年)・相馬将夏(法政大3年)

「サッカーを半端な気持ちでやってほしくないんです」

 もともと大木は、環境に合わせ、羽を伸ばしすぎる傾向がある。高校は通信教育を選択し、実家が足立区にあったため東京ヴェルディの寮に入った。同期の横内宏治(青学大3年)、古川悠(神奈川大3年)、西村竜一(関西大3年)らとの共同生活は楽しく、一般の高校生が味わうような学校行事とは無縁だったが、寂しさを感じたことはない。

 サッカーつながりの友だちと過ごす時間は充実していた。つまり、ヴェルディが大木の青春だった。一時期はふらふらして、ふたつ上の先輩とゲームセンターに入り浸った。当時の放蕩生活を見とがめた高木善朗(FCユトレヒト)からは「おまえ、実家に帰れ!」と痛烈な叱責を浴びている。

「ユースの1年目、あのときはみんなからたくさん怒られた。シカトされてたら……きつかったっすね。道を踏み外さなかったのは仲間のおかげです」と、殊勝なコメントである。

 このように軽はずみな一面を持つ大木ではあるが、ことサッカーにおいては真剣なのだ。以前、大学サッカーの印象について、こう話している。

「選手によって、意識にバラつきがある。ほんとに上を目指す気があんのかよ、とイラつくことも。おれ、サッカーを半端な気持ちでやってほしくないんです。ピッチに出たら本気でやるのが当たり前。やるならちゃんとやる、やれないんだったらどっかへ行ってほしい」

 大学サッカーはプロの養成機関ではないから、そういう選手もいるのが自然だと僕は思うのだが、大木はそれが許せないようだった。

「最初の頃は、体育会系特有のルールに面食らいましたが、いまではすっかり慣れました。受け入れることの大切さも知った。3年間で、人間的な部分では大きく変わったと思います」

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