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5バックだが弱点は守備陣。グループ最弱国コスタリカ、“死の組”で希望はあるか?

text by 池田敏明 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ディフェンシブな布陣も肝心の守備陣に不安が

 予選ではこの攻撃陣が、概ね期待どおりの活躍を見せた。3次ラウンドではメキシコに2連敗を喫したものの、格下のエルサルバドル、ガイアナからは取りこぼさず、無事に2位で突破。

 最終ラウンドでは初戦でパナマに引き分けると、続くアメリカとのアウェーゲームでは気温マイナス2度、降りしきる雪でピッチも選手の頭髪も真っ白になる中での試合を強いられて敗戦と、心身ともにダメージの大きいスタートとなった。

 しかしこれで逆に選手たちの闘志に火がつき、その後の8試合を5勝2分け1敗の好成績で乗り切って本大会出場権を手に入れた。ホームゲームでアメリカ、メキシコに快勝するなど勢いに乗った時のパフォーマンスは圧巻で、サボリオが予選通算8ゴール、ルイスやキャンベル、ボルヘスらがそれぞれ3ゴールを記録と攻撃力を爆発させた。

 ただ、ホルヘ・ルイス・ピント監督が選手たちの資質を最大限に生かしきれているかと問われると疑問符がつく。5-4-1という変則的なフォーメーションゆえ、丁寧に繋いで相手を崩すよりも一気に前線へとボールを放り込むことが多く、攻撃はアタッカー陣の個人技とひらめきに頼る部分が大きい。

 イメージがシンクロすれば鮮やかなフィニッシュシーンを目撃できるが、確実性は低く、勢い重視の感は否めない。チャンスがあるのは流れの中からではなく、空中戦に強い選手が多さを生かしたセットプレー。中盤から高精度のロングパスを繰り出すセルソ・ボルヘスはエアバトルも得意としており、滞空時間の長いヘディングは大きな武器となる。

 ただ、守備面はかなり心もとない。5バックで人数こそ多く割いているが、軽率なミスや無謀なプレーで大ピンチを招く悪癖は改善されておらず、予選でもクリアボールを相手に渡したり、バックパスや横パスを奪われたりといったシーンに何度もヒヤヒヤさせられた。

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