フットボールチャンネル

かつては酷評も今は溺愛。“キャプテン”メッシはなぜアルゼンチン代表でも輝けるようになったのか?

text by 藤坂ガルシア千鶴 photo by Ryota Harada

ラベッシ、パラシオ。控えメンバーも充実

かつては酷評も今は溺愛。“キャプテン”メッシはなぜアルゼンチン代表でも輝けるようになったのか?
アルゼンチン基本フォーメーション

 また、一番の弱点とされる守備においては、エセキエル・ガライとフェデリコ・フェルナンデスのCBコンビを継続して起用することで連携性を高めた。手当り次第に異なる選手を試すことに解決を求めず、何よりも「チーム内の結束度」を優先し、各ポジションに相応しいメンバーを厳選しては定着させていった。

 メンバーが固まってくると、人見知りの激しいメッシにとってもやりやすい。大半はユース代表時代に一緒にプレーした仲間であったことも、メッシには好都合だった。つまりサベーラ監督は、すでに出来上がったグループにメッシを放り込むのではなく、あくまでもメッシを中心にメンバーが集まった環境を作ることで、彼のパフォーマンス向上を手伝ったのである。

 基本の布陣は4-3-3だが、サベーラ監督はひとつのシステムに縛られるタイプではなく、対戦相手によっては4-4-2、または5-3-2も起用する。2トップの場合、控えに回されるのはアグエロと決まっているが、メッシ自身は攻撃のスペースをより広く確保するために3トップを好んでおり、サベーラ監督も試合の途中から3トップに戻すケースが多い。

 攻撃面においては、幸い控えメンバーも充実しており、メッシが負傷のために欠場を余儀なくされた予選終盤でも、エセキエル・ラベッシやロドリゴ・パラシオといった名手たちが持前のスピードと得点力で勝利をもたらした。

 また、やはり負傷のために一時期戦線から離脱していたガゴの代わりとして、ルーカス・ビグリアとエベル・バネガが非常に安定したプレーで中盤からの攻撃参加に貢献。特に守備力にも優れたビグリアはマスチェラーノの代役もこなし、サベーラ監督を満足させている。

【次ページ】懸念材料は守護神か
1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top