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日本に敗れ、急降下した“赤い悪魔”の評価。ベルギー代表は本当に強いのか?

text by 桑村健太 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

日本にも牙を剥いたカウンター

 ちなみに、ベルギー代表の愛称は名門マンチェスター・ユナイテッドと同じ“レッド・デヴィルズ(赤い悪魔)”である。代表戦が行われる試合では、悪魔の角をモチーフにしたキュートなアクセサリーを頭につけた女性サポーターの姿が度々目撃される。ベルギーには美しい女性が多い。これらの“美悪魔サポ”を見つけ出すのも、W杯の密かな楽しみであろう。

 ベルギーが得意とするのは、堅守速攻のスタイルだ。中盤でしっかりブロックを組んで守り、相手が攻めあぐねた隙を見てはカウンターを狙う。ベルギーはこの形を洗練させ、欧州予選でも結果を残してきた。

 個人レベルでもアクセル・ヴィツェルやマルアヌ・フェライニ、トーマス・ヴェルマーレンといったフィジカルモンスターがバイタルエリアにしっかりと鍵をかけ、相手選手の侵入を妨げている。190センチ近い選手たちが密集して組織を組むその様子は絵的に壮観であり、空中戦の強さに関しては、W杯に出場する32ヵ国中最強レベルにあるかもしれない。

 ベルギーは欧州予選も快調だった。予選A組を8勝2分の無敗で勝ち抜き、10試合で被った失点もわずかに4。クロアチアやセルビアといった中堅相手にも決してひるまず、正面から勝負を挑み勝利をもぎ取った。自慢のそのカウンターアタックは、予選を追うごとにその鋭さを増していった。ベルギーは、ただのタレント集団ではなかったのである。

 そんなベルギーが、日本相手に敗れた。しかも、あれだけ堅守を誇っていた守備は完全に決壊。なんと3失点を献上し、2連敗で今年度のスケジュールを終えたのだった。ベルギーが最後に3点を奪われたのは実に2011年の10月にまで遡るというのだから、日本のこの勝利がいかにインパクトを持っていたのかが分かる。

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