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高校サッカー心を揺さぶる物語。3年間、選手と共に戦った女子マネージャーは監督の娘

text by 安藤隆人

監督の娘であることの難しさ

 私はサッカー部のマネージャーになった。だけど、すごく大変な日々が私を待っていた。

 サッカー部では、学年ごとに2人ずつの女子マネージャーがいることになっていたのに、私がマネージャーになってから1ヶ月後、一つ上の先輩が2人とも辞めてしまった。同学年には私1人しかいなかった。一番きつい夏の前に、3年生2人と私、たった3人のマネージャーになってしまった。
 
 3年生のマネージャーとも、なかなかうまくいかなかった。先輩のサッカー部員の中には、昔から知っている人もいたから、私によく声をかけてくれた。そのことが3年生マネージャーにとっては、面白くなかったのだろう。

「1年生のくせに3年生部員と仲良くしちゃって……」。嫌味を言われることは、日常茶飯事だった。
 
 先輩マネージャーの仕事ぶりも、気になっていた。

 練習後の片付けはすべて私が1人でやっていた。その間3年生のマネージャーは部員たちとおしゃべり。私は毎日暗くなるまでグラウンドにいた。ずっと立ちっぱなしで、重い水を運んだりするから、身体が悲鳴を上げることもあった。ヘトヘトになって家に帰って、ご飯も食べずに寝ることもあった。

 朝の練習でも、私は始まる1時間半前にグラウンドに行って準備をしていたけど、先輩マネージャーたちは練習開始に間に合わないこともあった。

 部員たちは、全国大会を目指して必死に戦っているのに……。マネージャーが遅刻するような伝統は、絶対に作りたくないと強く思った。

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