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高校サッカーのレベルは上がっているのか? 選手権からわかる日本サッカーの底上げ

text by 川端暁彦 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

選手権“だけ”を見て議論するのはナンセンス

 もう一つ大きな要因は、高校サッカーの「戦国化」だ。サッカーというコンテンツの価値向上、少子化にもかかわらず競技人口のベースアップが進んだことでサッカー部に大きな投資をする私立校が大幅に増加。

 少子化の流れの中で全国的に私立の女子校が「共学化」する流れが生まれ、これが野球やサッカーに投資するのが学校経営上のセオリーとして確立されたのも大きかった。

 これに日本全体の技術的なベースアップという要素が加わって、全国的に戦力の均衡化が進んだ。優勝候補が200校あると言われる現代の高校サッカーにおいては、選手権だけを追ったところでそのタレントをチェックすることは適わなくなったのだ。

 現代の選手権を、「日本サッカーの育成年代の縮図」として観たり議論したりすること自体、正直に言えばナンセンスな部分がある。予選敗退校にも、サッカー部に所属しない中にも山のように良い選手がいる時代にあって、選手権だけを観て「タレントがいない!」「レベルが低い!」と嘆くのはいかにも窮屈な議論ではないだろうか。

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