フットボールチャンネル

連載コラム 10年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。地球の裏側でJリーグを放送した男の足跡(その2)

自腹を切った放映権料

 テレビ・クルトゥーラは60年に創立されたテレビ局である。68年にパードレ・アンシェッタ財団の寄付により、サンパウロ州政府が買収している。

 クルトゥーラとは英語の「カルチャー」の意味で、教育色の強い番組を多く放送していた。

 当初、テレビ・クルトゥーラの担当者はJリーグ放映に乗り気ではなかった。ノルベルトは放映権料を払わなくてもいいと説得した。Jリーグ映像への支払い750ドルはノルベルトが自腹を切ることにした。

 日曜日の同じ時間、別のテレビ局がイタリアのセリエAを録画放送していた。セリエAの視聴率は約4パーセント、Jリーグはこれを超えることはあるまいと担当者は見ていた。視聴者の興味を惹くために、番組の最後にサイン入りユニフォームをプレゼントする企画も始めることにした。

 放送を始めてみると、視聴率は限りなく零に近い数字だった――。

 しかし、少し経つと状況が変わった。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top