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【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その4)

シリーズ:【特別対談】加部究&幸野健一 text by 森哲也 photo by Kiwamu Kabe , editorial staff

文武両道という言葉があること自体がおかしい

――親はブランドみたいなもので判断しがちかもしれないですね。

加部 そうです。Jクラブについて言うと、ジュニアユースに入って、ユースに上がったとすると、そのままプロになれなかったとしても、良い大学に行くための近道になる、みたいな考え方をしている親は多いです。このクラブに行けば筑波に行ける、このクラブに行けば早稲田に行けるみたいなことが、まことしやかに言われています。

幸野 現実として、そこに大学の推薦がありますからね。僕はその推薦制度も良くないと思います。大学に入るためにサッカーをやっているというのは本末転倒ですし、勉強は勉強で、スポーツと両立させるのは当たり前です。そういう当たり前のことができる学校に結果を残して欲しいですね。

加部 勉強とスポーツを両立すれば、必然的に練習時間なんて限られてきますからね。

幸野 文武両道という言葉があること自体がおかしいですよね。今は國學院久我山のような学校が出てきていますが、それが主流になるべきです。

――先ほど親の話が出てきました。『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』のまえがきとあとがきにも書かれていますが、ご自身の息子さん(加部未蘭/福岡大学)もサッカー選手になられたなかで書きづらさみたいなものはなかったでしょうか。

加部 書きづらくはなかったですよ。あいつにとってはいい迷惑かもしれないけど。

――そこで親御さんの繋がりとかもできたりして、お話を聞く機会もあったかと思います。

加部 そうですね。中学時代に一緒だった親御さんと話していて、「(自分の子どもが受けている)指導がものすごく良い」という話に出くわしたことがないんですよ。どこに行っても、指導者が問題だよね、という話になる。

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