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【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その4)

シリーズ:【特別対談】加部究&幸野健一 text by 森哲也 photo by Kiwamu Kabe , editorial staff

どこに行けとは言っていません

【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと
サッカー・コンサルタントの幸野健一氏【写真:編集部】

幸野 実際加部さんと僕の共通点は、自分の子どもを通して育成年代と深く関わってきて、現実の問題としていろんなことに遭遇しながら見てきたというのがありますね。うち(幸野志有人/FC東京)は高校サッカーには行かなかったから高校サッカーの現場には行っていないけど、当然周りでも見てきたし、相談も受けてきました。

 高校やクラブで分けるというよりは、U-18というカテゴリーのなかで良い学校・クラブもあれば、ダメなところもあるということでしょう。そのなかで、少しでも子どもを大切にするところが増えればいいと思います。

――幸野さんは、息子さんがサッカーをするにあたって、教育方針みたいなものはありましたか。

幸野 いや、僕は子どもを大人として扱って自立させるという考え方でやってきたので、特に何も言っていないです。基本的に褒めて育てるほうだったので、サッカーについてはネガティブなことは多分あまり言っていないです。

――『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』の重要なテーマのひとつに進路選びがあると思います。これについて、幸野さんは息子さんとどういう話をされてきましたか。

幸野 たとえば、中学に上がるときは、家を出たいからここに行きたいといくつか選択肢を彼が出してきました。もちろんアドバイスはしましたが、どこに行けとは言っていません。そもそも家を出ろ、なんて言ったこともないです。

 12歳で家を出るというのはどうなんだろうとは思いましたが、本人がプロになるために自分で決断したことですからそれを尊重しました。やはり最後に決めるのは本人です。代理人も含めて僕らは情報を整理して与えますが、最終的には本人に判断させています。彼の人生は彼が決めるべきだと思いますから。

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